インフルエンザの基礎知識

こころとからだの元氣プラザ
統括所長 中村哲也
(元氣プラザだより:2020年1月号)

意外と多いインフルエンザ関連死亡、職場の業務遂行に支障も

インフルエンザが普通のカゼと違って注意をしなくてはならない理由は、重症化の危険性と感染力の強さにあります。

典型的な場合は高熱が続き、2-3日寝込んでしまう方もいらっしゃいます。それでも若いお元気な方であれば重篤な状態になることはめったにありませんが、高齢者や基礎疾患をお持ちの方は全身衰弱をきたし、様々な合併症から死に至ることもあります。

このようなインフルエンザに関連する死亡を「超過死亡」と呼び、1シーズンで3千人~5千人となることが多く、1998年~1999年のシーズンは3万6千人に達しています。このことはあまり話題にならないですが、これがインフルエンザが要注意感染症である所以です。

もう一つ注意すべきことは、その感染力の強さです。一人の感染者を発端にあっという間に周囲に広がりますので、職場の一つの部署で複数名がインフルエンザで同時に欠勤し、業務の遂行に支障が出ることがあります。企業の経営層の方は、事業継続性の観点からもインフルエンザ対策を考える必要があります。

予防の基本はワクチン接種と手の清潔保持(手洗いやアルコール消毒)

インフルエンザの予防方法については様々な情報が流布していますが、科学的にしっかりした根拠のある予防方法はワクチンと手の清潔保持の二つです。

インフルエンザのワクチンの有効性は流行シーズンにより変化しますが、おおよそ60%程度の感染阻止力です。この数字は、ワクチンを接種した集団のインフルエンザ発生数が接種していない集団に比べ60%減少する、ということを意味します。

残念ながらワクチン接種をしてもインフルエンザになる方がいますが、その確率は減りますし発症したとしても症状が軽く済み、前述の超過死亡数を減らす効果が期待できます。また、事業所など集団全体で接種を励行することで、病欠者が同時多発し事業が止まるといったリスクを避けることができます。

もう一つの大事な予防方法は手の清潔保持です。感染者は、咳やくしゃみでインフルエンザウイルスを含んだ飛沫を周囲にまき散らします。また、ウイルスの付着した手でドアノブや電車のつり革に触れたりして、そこらじゅうにウイルスを付着させます。

健常者がそこに触れると手にウイルスが付着し、その手を鼻腔や眼にもっていくと粘膜表面にウイルスが付着し感染が成立します。このようにインフルエンザウイルスは手により媒介され、手の清潔保持がインフルエンザ予防にきわめて重要です。

手洗いは水にさっと手を濡らすだけではダメで、石鹸をつけて汚れをこすり落とす必要があります。どろんこ遊びをした後に、汚れた手の泥をこすり落とすイメージで行ってください。

インフルエンザにかかったら

典型的なインフルエンザの場合は、急に38度以上の発熱が出現し、筋肉痛・関節痛などの症状を伴います。しかし、非典型例では微熱程度で通常のカゼと区別できない場合もあります。

したがって、インフルエンザの流行期に発熱などのカゼのような症状があれば、一応インフルエンザを疑う必要があります。医療機関を受診すればのどや鼻を綿棒でぬぐって15分程度で診断できますが、発症後数時間はウイルスの量が少なく検査しても陽性にならないことがあります。

医療機関を受診する意義は、抗インフルエンザ薬を処方してもらえることにあります。ただし、その効果は「発症後48時間以内に使用すれば、発熱期間を約1日短縮できる」という程度です。

したがって、発症後3日以上経過している人はあまり受診する意味がありませんし、熱が低くしんどくなければ、あえて抗インフルエンザ薬を使用しなくても自然経過で良くなります。ただし、高齢者や基礎疾患をお持ちの方は重症化のリスクがありますので、受診をお勧めします。

 

ご精読ありがとうございました!

 

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